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執筆者の写真ジェットコースター男

国内最強のマニアが教える ジェットコースターの楽しみ方

更新日:2022年5月1日


※画像はすべてジェットコースター男さん撮影


ジェットコースター――それは遊園地やテーマパークに欠かせないアトラクションとして、多くの人を楽しませてきた。新型コロナウイルスの影響で(2021年10月1日で緊急事態宣言が解除されたものの)気軽に遊園地に遊びに行ける状況ではないかもしれない。しかし、世の中には私たちがまだまだ知らない、すごいジェットコースターがたくさんある。そこで、世界と日本合わせて456機種にも乗車したという国内最強のマニア、ジェットコースター男さんに3回に渡ってその魅力をあますことなく伝えていただく。



世界456機種に乗車した、ジェットコースター男です


 ジェットコースターに乗ることが生き甲斐の「ジェットコースター男」です。現在までに世界456機種に乗車して、日本国内はすべて制覇しました。次は乗車機種数500を目指して、ジェットコースターに乗る日々を送っています。


 また、乗るだけではなく写真を撮影するのも好きで、日本初となるジェットコースター写真展を大阪で開催。SNSで撮影した写真や映像を用いてその魅力を発信しており、テレビやラジオなど数々のメディアにも出演しています。


 そんな私が生まれて初めてジェットコースターに乗ったのは、小学5年生の春。それまでは怖くて乗れませんでしたが、友達と遊びに行った遊園地で度胸試しのようなノリで乗ることになってしまったのです。勇気を振り絞って乗ってみると、猛スピードで落下したり旋回したりと、ジェットコースターでしか体験することのできない快感を覚えました。


 それと同時に、怖くて乗れず下から眺めていた自分が乗れたんだ!と少し大人に近付けたようで、恐怖を乗り越えて強くなる実感が得られました。あまりの興奮にアドレナリンが噴出していたのか、何十年も前のことなのに初めて乗った日のことを今でも鮮明に覚えています。それからは狂ったように乗りまくり、今では何百回、いや何千回と乗るようになってしまいました。



ジェットコースターの楽しみ方


 ジェットコースター好きは、爽快さを求めるタイプと激しさを求めるタイプに分かれることが多いです。爽快さの代表例としては、落下するときに体がフワッと浮く感覚(マイナスG)で、激しさはカーブや一回転するときに体が加重で押しつぶされるような感覚(プラスG)になります。


 私は体がフワッと浮く感覚の、マイナスGを強く体感できるジェットコースターが好きです。特にBolliger & Mabillardというスイスのメーカーはなめらかな乗り心地が特徴で、不快な振動がなく極上のマイナスGを体感できます。国内では、「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン:大阪府)がその一つです。


ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド


 ジェットコースターに何度も乗車していると、座る位置によってGの変化や速度の違いがわかるようになってきます。先頭が一番怖いと答える人が多いかもしれませんが、実は一番後ろの席がよりスリルを体験することができます。前席に比べて後席は落下に突入する際のスピードが速くなるので、前席よりも体が浮くマイナスGを感じやすいので迫力が増すのです。


 スキーのリフトのような吊り下げ式のインバーテッドコースターでは、先ほどの一番後ろの席とは逆に一番前の席をおすすめします。後席だと前席を吊り下げている部品が視界をさえぎり、足ブラで乗車するインバーテッドコースターならではの開放感が半減してしまいます。前に遮るものが一切ない先頭の席を狙いましょう。このタイプで有名なのが「ピレネー」(志摩スペイン村:三重県)で、海外にファンも多く、日本が世界に誇るインバーテッドコースターです。


ピレネー



ジェットコースターに乗らずに楽しむ?


 ジェットコースター好きの中には乗るだけではなく、走行している車両やうねうねと曲がりくねったレールを眺めて楽しむという強者も存在します。鉄道マニアの撮り鉄のように、お気に入りのポイントでシャッターチャンスをねらい写真を撮影して楽しむのです。怖くて乗れない方も、まずはジェットコースターを被写体として、見て撮って楽しんでみましょう。それでは、国内の思わず撮影したくなるような外観が美しいジェットコースターを紹介します。


 まずは、日本初の木と鉄のハイブリッドコースター「白鯨」(ナガシマスパーランド:三重県)です。「白鯨」は、1994年にオープンして話題になったホワイトサイクロン(世界最大級の木製コースター)を鉄で補強して2019年にハイブリッドコースターとしてリニューアル。トリッキーなコースレイアウトで右に左に振り回され、まさに白鯨が大海原を激しく遊泳しているようなイメージです。ホワイトサイクロン時代の白い木組みと新調された青いレールが絡み合い、巨大な現代アートのようで鑑賞して楽しむことができます。私はいつもお気に入りのポイントから白鯨に沈む夕陽を眺めて癒されています。


白鯨


 九州を代表するジェットコースターの「ジュピター」(城島高原パーク:大分県)は、1992年にオープンした日本初の木製コースター。先に紹介したハイブリッドコースター「白鯨」とは違い、ほぼすべてが木で造られた純粋な木製コースターで、木の風合いが活かされています。城島高原の緑の中にそびえ立つ姿がりりしく、大自然の風景が幾何学模様のような木組みの美しさを際立たせます。


ジュピター


 吊り下げ式タイプのインバーテッドコースターの「ピレネー」(志摩スペイン村:三重県)は、垂直ループや水平ループなど回転の多いコースレイアウトで、うねうねと曲がりくねったレールの曲線美はまさに芸術作品。周辺の伊勢志摩の景観と相まって、ここでしか見ることのできない景勝地ならではの景色を堪能することができます。


ピレネー


 最大落下角度121度のえぐるような落下が話題の「高飛車」(富士急ハイランド:山梨県)は、垂直に上る巻き上げやえぐれたレールのしなりがたまりません。絶叫マニアの聖地である富士急ハイランドは、世界遺産の富士山の麓に位置するので、天気の良い日には富士山を背景にすばらしい写真が撮影できます。ジェットコースターと富士山のコラボは海外の方にも好評で、日本を代表する絶景の一つです。


高飛車



ジェットコースターの裏側


 ジェットコースターの魅力をより深く知るために、最近はスタッフさんに交じって裏側を取材しています。ジェットコースターを安全に走行させるためには、日々のメンテナンスや点検が欠かせません。暑い日も寒い日も、朝早い時間帯からスタッフ総出で点検しており、取材を進めるうちにジェットコースターを毎日安全に走らせることは大変なのだと実感しました。実際に点検用通路で頂上まで登ったり、敷地内を歩いてレールの下から見上げてみたり……初回の最後に、普段は関係者しか見ることのできない特別な眺めを紹介します。


※各施設に取材許可をいただき、安全対策を万全に撮影しています


 第2回は知る人ぞ知る、地方のジェットコースターを紹介したいと思います。



※今回紹介したジェットコースター一覧

ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン:大阪府)

ピレネー(志摩スペイン村:三重県)

白鯨(ナガシマスパーランド:三重県)

ジュピター(城島高原パーク:大分県)

高飛車(富士急ハイランド:山梨県)

 

ジェットコースター男

世界456機種(国内はすべて制覇)に乗車した経験を持つ。その素顔は日本で唯一のジェットコースター専門店(名古屋市大須)の店主。お店を経営しながら、ジェットコースターの魅力を発信している。

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