「ゆっくり霊夢です」「ゆっくり魔理沙だぜ」で始まる動画をご覧になったことはあるだろうか。今やITから歴史、雑学、勉強方法、事件、オカルト、都市伝説まで、世の中のあらゆることを教えてくれるのは、GoogleでもなければWikipediaでもなく、この2人である。彼女たちはもともと「東方Project」のキャラクターであり、それが2ちゃんねるで「ゆっくりしていってね!!!」というセリフとともにAA(アスキーアート)化され、さらにはイラスト化されると大人気を博す。そして「ゆっくりボイス」と言われる合成音声ソフトとともに動画化されると、爆発的な流行を生むことになった。「ゆっくり実況」「ゆっくり解説」「ゆっくり劇場」として知られるこれらの動画は様式化され、発展し、日々数え切れないほどのコンテンツを生み出している、というわけだ。今回はその「ゆっくり」を起点に3本のインタビュー記事を用意した。本稿は東方Projectの原作者ZUNさんへのインタビューである。
東方Projectは弾幕シューティングゲーム
――東方Projectは、1996年にスタートしたシューティングゲームのシリーズなんですよね。
1作目のみブロック崩しで、2作目以降はすべてシューティングゲームです。もともとシューティングゲームが好きだったので、自分で作りたくて。1作目はパソコンに触りたての頃に作った習作ですね。
――コミケや同人ショップで買うことができる「同人ゲーム」でいいのでしょうか。
そうですね。これまで同人ゲームはコミケで売ったり、同人ショップに委託したりがふつうだったんですけど、ここ数年でダウンロード販売が当たり前のようにできるようになりました。今ではいわゆるインディーゲームとの区別がほとんどない状態だと思います。
――同人=インディーゲーム?
日本発のインディーという感じですね。
――ZUNさんはいち消費者として、同人カルチャーにくわしかったんですか?
いえ、同人のことはくわしくなかったんですよ。コミケに参加したのも、ゲームの作り手として参加したのが最初です。ゲームを作ってどこで売ろうかと考えていたら、先輩から「こんなところで売れるよ」と教えてもらって。
『東方靈異伝 ~ Highly Responsive to Prayers.』
東方Project第1弾。PC-98シリーズ用のゲームとして、ZUN Softより発表。第2弾となる『東方封魔録』から弾幕シューティングゲームに。5作品の発表をもって一時休止し、2002年発表の第6弾『東方紅魔郷 ~ the Embodiment of Scarlet Devil.』を機に、プラットフォームをWindowsへと移し、またサークル名を「上海アリス幻樂団」と改称した。最新作は第18.5弾『バレットフィリア達の闇市場 ~ 100th Black Market.』
原作の魅力、それは弾幕、音楽、世界観
――東方Projectの魅力は「弾幕」「音楽」「世界観」だと語られるのをよく目にします。それぞれお聞きしていきたいのですが、まず弾幕といえば1997年の『怒首領蜂』が最初になるんでしょうか。
僕が作った弾幕は『怒首領蜂』より前なんですよ。当時はまだ弾幕系という言葉もなくて、敵の弾をたくさん出して驚かせたり、それを避けることに楽しさを感じてもらうのが流行り始めた時期でした。『バトルガレッガ』がアーケードで出たあたりですかね……。
つまり、同時多発的にそういうゲームが登場するようになった。それまで縦シューティングって自分が敵を破壊することがメインで、自機の攻撃がどんどん派手になっていったんですけど、あるときから――『怒首領蜂』が本当に完成させたような感じがするんですけど――敵側の攻撃が派手になって、こちらはその邪魔をしないようになっていく。
――打つと避けるがシューティングの魅力だとすると、避けることに焦点が当たっていったわけですね。
1990年代後半はそうでしたね。そういうゲームの影響を受けて作ったというよりは、シューティングの大きな流れの中にいて、目新しいシューティングだから作っていて楽しかったんです。
――弾幕の幾何学的な模様も美しいと言われますね。私はプレイしていてその美しさを楽しめるほどの余裕はありませんでしたが……(汗)。
そういうゲームですからね(笑)。ちなみに弾幕はいくつかパターンがあって、見た目が美しいものもあれば、避けて楽しいものもあって、キャラクターに合わせて変えていますね。そうした弾幕の作り方を出していけるのが東方の特徴だと思います。
『東方紅魔郷 ~ the Embodiment of Scarlet Devil.』
2002年発表の第6弾。Microsoft Windowsにおける東方Projectとしては1作目であり、東方Projectの代表的な作品でもある。
――これまで多数のキャラクターが登場していますが、その数だけ弾幕がある……?
そうです。いいものもたくさんあれば、悪いものもそれなりにあります(笑)。1作品のうち、いいものが数個あれば十分かな、という作り方をしています。
――操作できるキャラクターはすべてが女の子ですよね。
戦争をテーマにしたシューティングなら戦闘機が出てくるわけですけど、戦闘機が幾何学的な模様の球を打つと違和感があると思うんです。戦車の砲塔から変な弾が出たら変ですよね。弾幕を見せようと思ったら、キャラクター主体のほうがやりやすい。さらに男同士のガチな戦いより、女の子同士のほうが世界観にも合っているんです。
――なるほど。
立ち絵が存在する男性キャラクターも2人いますが、どちらも戦闘しないタイプです。もちろん男性キャラクターがいても成り立つとは思いますけど、強ボスみたいな形で登場してしまっては、世界観が変わってしまうかもしれない。
それと、当時の同人ゲームって、女の子が主人公のものが普通だったんですよ。だからそうした影響もあるかもしれないですね。
弾幕シューティング=音ゲー!?
――東方の音楽を愛する人も多く、アレンジもたくさん存在します。音楽はどんな位置づけなんですか?
音楽はすごく重要な部分です。縦スクロールのシューティングは、画面が勝手に流れていく中で自機を動かします。敵の攻撃もどんどん来るから、流されるように避け続けなきゃいけない。それと音楽は相性がいいんですよ。「ここで音楽で盛り上げて、キャラクターとの会話が入る」といった、映画のように楽しめるゲームを作ることができる。制約がある縦スクロールのシューティングだからこそ、音楽の魅力も上がると言えますね。
――その結果、曲も印象に残りやすくて、ユーザーの印象もいいわけですね。
そうだと思います。
――音楽に加えて、敵を倒したときに気持ちのいい音がしますよね。ここも意識されているんですか?
大切ですね。試しに音を消して遊ぶと、まったく避けられなくなりますし、気持ちよくもない。音楽、効果音などの音は重要な要素です。
――その点、音ゲーとも近いですか?
よく「シューティングは音ゲーだ」とか、「音ゲーはシューティングだ」と言われるぐらい親和性は高いです。音ゲーは音楽をどう遊ぶか、シューティングはゲームを盛り上げるために音楽があるのでその点は違いますけどね。
――巫女さんや妖怪、鬼、幽霊、神などが出てくる世界観は、どういう経緯で発想されたんですか?
和風のゲームを作りたいと思っていて、狭い世界の中で巫女さんを出したかったんですね。当時は巫女さんのゲームはほとんどなかったので、巫女さんを主人公にしたらおもしろいんじゃないかと。そこから出発して、巫女さんがいるちょっとなつかしい世界……という感じで徐々に広げていきました。
博麗霊夢(はくれいれいむ)
東方Projectの主人公の1人、ほぼすべての作品に登場。霊気を操る程度の能力を持つ。
霧雨魔理沙(きりさめまりさ)
東方Projectのもう一人の主人公。魔法を使う程度の能力を持つ。
原作ファンVS二次創作から入ったファン
――東方Projectの認知度が上がっていったのはいつごろなんですか?
2002年に『東方紅魔郷~the Embodiment of Scarlet Devil.』(以下、『紅魔郷』)を作ったとき、同人ゲームでは話題になっていました。それから2作、3作と作るうちに業界ではどんどん有名になって。それから二次創作が増えて、二次創作で東方を知った人が入ってくるのは、2006年にニコニコ動画のサービスが始まってからですね。それまでの東方ファンとは違うファンが急激に増えました。
――すでにファンコミュニティーが形成されていたんですね。
古参のファンがいっぱいいて、そこにニコニコ動画からの新参者が入ってくると戦いになって……だいたい仲はよくなかったですね(笑)。
――東方でもそういう対立があったとは……。東方Projectは今やn次創作といった広がりを見せていて、特にキャラクターは原作とは違う文脈で使用されています。作品によっては原作者の解釈以外は許さない、みたいな風潮もあります。
原作ファンとニコニコ動画やYouTubeなど二次創作で知った人とのケンカはそういう理由でしたよ。二次創作を見て原作とどう違うかをさらし上げる「東方警察」もいて。ただ最近は原作を遊んでいる人も寛容になってきた気がします。
――どんな経緯で寛容になっていったんですか?
想像ですけど、単純に時間だと思います。長い時間が経過すると、みんな丸くなるんじゃないかな。
――ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は人格も声もすべてが違いますけど、原作ファンのみなさんはもうアリなんですか?
東方のファンはアリっぽいですね。原作自体も毎作、性格や設定が若干違うからあんまり気にしないのかな? 僕が「ゆっくり」について語れることはないんですけど、「ゆっくり」が生まれたのもニコニコ動画の頃ですね。2ちゃんねるに「ゆっくりしていってね!!!」のAA(アスキーアート)が書き込まれたのが最初だったんですけど。
――それはファンアート的な使われ方で?
いえ、当時は東方がすごく盛り上がっていたときで、2ちゃんねるで東方のことを書きこむと、話題がそればっかりになってしまうぐらいだったんですよ。それに対して、ほかのゲームの話をしていた人たちが怒ったんですよね。「もう、東方の話はするな」と。だから東方のファンは2ちゃんねるには書き込まないようにしようと、「したらば」という別の掲示板に移動した。
でも、それで沈静化するわけではなく、2ちゃんねるで少しでも荒れそうなスレがあると東方のAAが貼られて荒らされるようになってしまった。おそらく東方のアンチが貼っていたんだと思うけど、案の定、荒れるんですよ。だから東方のファンにとっても、あのAAは荒らしに使われていて好きではなかったはずだし、ほかのユーザーもあれを見るとイライラするという、本当に荒らすためのツールでした。
――誕生はあまりポジティブなものではなかったんですね。
僕の知っているかぎりでは、ポジティブではなかったと思いますよ。本当に古参の東方ファンはその時代を知っているから、いい印象を持っていなかったんです。そのあと、AAをイラスト化したのがまそさんだったんですけど、イラスト化されたらかわいくなって、かわいさだけが残り、荒らしの文脈が消えていった。だからみんな使いやすくなったのかなと思います。
――ニコニコ動画以降で言うと、2017年に「Play, Doujin!」(※)プロジェクトがスタートしました。影響は大きかったですか?
確実にありました。このおかげで原作に入ってきた人も多いと思いますが、何よりも、コンシューマー機で遊べることになったことで、いろいろなメディアが取り上げてくれるようになったんです。
それまで東方はやはり同人ゲームだったので、オタクカルチャーのメディアでしか取り上げられませんでしたから、「東方Projectとは……」といちから説明していたんですけど、別のゲームメディアでも取り扱われるようになると、「あの大人気シリーズ」みたいな書かれ方をするようになりました。
※東方Projectの一部の原作および二次創作作品がコンシューマー機でプレイできるようになった
なぜ、二次創作に寛容なのか?
――東方Projectはオリジナルの同人ゲームですよね。当時からオリジナルゲームって売れていたのでしょうか。
ゼロ年代だと同人誌は二次創作がほとんどでしたけど、同人ゲームはけっこうオリジナルが多かったんですよ。同人ゲームを買いに行く人はいっぱいいたし、仲間内ではみんな知っているという作品もたくさんありました。中でも『月姫』『ひぐらしのなく頃に』はすごく売れていたと思います。
――いつごろから自分の作品が二次創作されていると知ったんですか?
2002年に『紅魔郷』を出した直後から、絵を描いたとか、本を作りましたといった報告を聞くようになりました。2003年のコミケのときにはひと島くらいのサークルがありましたね。
――ZUNさんは二次創作に寛容とよく言われますよね。それは最初からなんでしょうか。
コミケ自体が二次創作の場なので、コミケで発表しているゲームは二次創作に寛容という認識がきっとあったんだと思います。実際、『月姫』がその前から流行っていて、同人誌もものすごい量があったので。
――東方もコミケにいるから二次創作OKだろう的な。
だからそこにいた僕も、端から「二次創作はやめてくれ」という考えがなかったんです。よく「なぜ二次創作に寛容なのか」と聞かれますけど、あの場(コミケ)にいたら寛容にならざるをえないというか。みんな勝手に作っていくから、なし崩し的に「ここまではOK」「ここから先はちょっとやめて」といった形で、あとからガイドラインを作りました。
最初の頃のガイドラインは、そんなにこまかくなくて、慣例的な同人活動はOKみたいな感じでしたね。たとえば原作やほかの人の創作物を勝手に使うのは当時もよくなかったし、売る場所もコミケやイベントオンリーといった感じで。
――東方がここまで広がった背景にはそれほど同人活動を制限しなかったからこそなんでしょうか。
寛容だったから広まったというのは、一側面でしかないと思いますね。作り手側による「用意した素材を使ってくださいね」みたいな合意とは少し違うと思っていて、やはり根元にはファンが二次創作したくなるような魅力がないとダメだと思います。
――東方にはマンガや書籍、アニメ、ゲームなどさまざまな入口があると思いますが、今は何が多いんですか?
「博麗神社例大祭」(※)に行くと、小・中学生や高校生が多いんですよ。イベントに来ていた小学生に何で知ったのか聞いてみたら、マイクラのゆっくり実況だと。そしてゆっくりが何か調べたら、ここにたどり着いて。僕の想像とは違う広がり方をしているみたい。
※東方Project作品オンリー同人誌即売会。20004年に初開催。2023年は5月7日(日)、東京ビッグサイト 東ホールにて開催予定。
――二次創作から原作に当たる人はどのくらいいるんですか?
東方を知っている人や東方ファンの中で、原作のファンである人はかなりニッチなほうになると思います。さらに原作をちゃんと遊ぶことができて、高難易度のステージをクリアできる人になると、ごく一部になるんじゃないかな。そのぐらいの難易度で作っていますしね。
――二次創作から原作に当たる人を増やそう、という気持ちはあまりない?
原作は原作としてちゃんと売れていて、おまけに一人で作っているので、一人で利益をすべて得ることができますからね。その分、売上のハードルはすごく下がるんです。単純計算で、人数が増えた分だけたくさん売らなきゃいけなくなってしまう。10人で作ったら、これまでの10倍売らなきゃいけないとなると、いきなりむずかしくなります。
一人で作っているメリット
――原作ファンVS二次創作ファンというお話がありましたけど、映画『ピープルVSジョージ・ルーカス』のように、作品によっては熱狂的なファンが原作者に「ストーリーが気に入らないから変えろ」と言ってしまうような争いに発展するものもあります。ファンからZUNさんに何か要望が出ることはありますか?
ストーリーについてはめったにないですけど、ゲーム内容に関してはよく言われます。「あれ、おもしろくないよ」「出来が悪いよ」って。みんなストレートに言ってくる(笑)。でもそれはむしろ喜ばしいと思っていますけどね。
――ストーリーよりプレイ感重視なシューティングならではの反応とも言えそうですね。でも直接言われるんですね……。
反応はあって当然だと思うし、僕としてもわかっていて。そのぐらいフランクな関係で、次々に出していったほうがいい。
――なるほど。ZUNさんは多作な分、調整もしやすい、と。
もし失敗したら、次を作ればいいやという気持ちで考えています。
――それは一人で制作というフットワークの軽さならではと言えるでしょうか。
意図的にそうしています。1作ずつ時間をかけて、ボリュームを増やして……とすごく重たい作品を出してく方針だと、いずれ作れなくなってしまう。なぜなら、次はもっと大きく……をくり返してしまうから。それを避けて、毎作同じぐらいのボリュームで、当たり外れが少しあるぐらいがちょうどいいのかなと思っています。
――あまり大きく作ることには興味がないんですか?
一人だし、できないですよね。大作を作ろうと思ったら「人生であと1回作るか」みたいな感じになってしまって、それはそれで寂しいですから。「今回はちょっと納得いかないところがあるけど」ぐらいの作り方のほうが、ゲーム制作を続けていくにはいいんじゃないかな。
――アップデートを重ねながら、一つの作品のクオリティーを高めていくことはあまり考えない?
アップデートは結果、大作になるんですよ。何年も続けて、大型アップデートをするじゃないですか。そうすると、おそらくそのゲームから離れられなくなりますよね。次のゲームを作れなくなっちゃう。
最初に同人=日本発のインディーと言いましたよね。実際、インディーも同人も売る場所が違うだけだと思っていたんですけど、ずっとゲームを作ってきて思うのは、同人ゲームを作っている人とインディーゲームを作っている人では少し差を感じる用になりました。インディーゲームは大きな会社には属していないけど、とにかく成功させたいという野望がある。
一方で同人作家には、本当に好きだから、これを作ってみたかったからやるという人が多いんですよ。二次創作なら、このゲームが好きで自分ならこう表現したい。そちらに重きを置いている印象です。その考え方で言うと、僕はインディーよりは同人マインドのほうが強いんでしょうね。
――ちなみに、これまでユーザーの反応で驚いたものはありますか?
僕が想定してない避け方をする人が出てくると驚きますね。たとえば『弾幕アマノジャク ~ Impossible Spell Card.』は、避けられない弾幕を出して、それをアイテムで攻略するというゲームなんですけど、アイテムを使わないでクリアしたっていう報告がいまだにあって。一応、アイテムを使わなくても避けられるようにはしていたんですけど、驚きましたね。
『弾幕アマノジャク ~ Impossible Spell Card.』
2014年発表、第14.3弾。超難関の弾幕をアイテムを駆使しながら攻略していくのが特徴。
ゲーム制作者としてのこれから
――ZUNさんはがゲームに興味を持った原体験は何ですか?
実家が喫茶店だったので、テーブル筐体があったんです。昔の喫茶店にはインベーダーの時代からテーブル筐体があって、小さい頃はそれで遊んでいました。でも全然先に進めなくて(笑)。いつかこれをうまくクリアできるようになりたいって思っていましたね。小学校に入ったらファミコンが発売されてたくさん遊んだし、中学時代はスーパーファミコンで遊んで、大学時代はプレステ……そんな感じでゲームの進化とともに自分も成長してきました。
――いちゲーマーとして、ゲームをプレイするときに重視する要素はありますか? たとえばストーリーだったり、システムだったり、デザインだったり、キャラクターだったり。
むずかしいな……あまりゲームをこまかく分けて考えないんですよ。たとえばあるゲームをプレイして、音楽はいいけど世界観はイヤだなとか、システムはいいけど音楽はちょっととかではなくて、最初に遊んだときに一発でわかるんですよ。世界に触れたとき、音楽が流れた瞬間、ちょっと操作した感じ……そういう感覚を大切にしています。それは自分でゲームを作るときも同じですね。
――それは自分の好みに一致しているかどうかという話ではなくて、ゲーム全体で訴えかけてくるものがあるかどうか……?
音楽が自分の好みのジャンルじゃなくても、そのゲームとマッチしていたら、その音楽が好きになってしまうぐらいの一体感があるか。それが伝わってくるような作品が好きですね。
――最後に、東方Projectの原作者として、これまでたくさんのゲームをリリースしてきました。今後もこの制作ペースは続くのでしょうか。
「このぐらい作ったらどうしようかな、一生作り続けることはできないしな」と思っていた時期があったんですけど、とうにその作品数を超えてしまいました。今では作り続けられる限界まで作ってみたいと思っています。ただ、体力やアイデア、一番は気力かな……そのあたりをどう保てるか、自分で調整しながら、苦痛じゃなくて楽しく続けていこうと思っています。
【ゆっくりインタビュー】
ZUNさん
「東方Project」の原作者。サークル「上海アリス幻樂団」主宰。博麗神主。大学時代からゲーム制作を開始。株式会社タイトーでゲーム開発者としての勤務を経て、現在は個人でゲーム制作を行う。ビールが好きで、ニコニコ超会議でプロデュースしたビールも販売(今年のニコニコ超会議にて超ZUNビールブースも出店)。
Twitter:https://twitter.com/korindo
東方よもやまニュース:https://touhou-project.news/